ATERA PEOPLE 09

あてらperson09 
母 安藤麻美さん

いろいろあるけど、お母さんは楽しい

子育ては大変だ。どんなにやっても終わりがないし、始まったら最後、休みもない。目指すべき正解はなく、思い通りにいかないことばかりで、おまけにひとりひとりみんな違う。大変だ。   
でも、その大変さすら楽しんでいる人がいる。見ているこちらまで温かい気持ちにさせてくれる人。笑顔で楽しそうに子育てをしている人。そしてその人は実際「楽しい」と話してくれた。「すごく大変だけど、すごく楽しい」と。
それが、安藤麻美さん。現在小学4年生の長男・煌歩(あきほ)くん、保育年年長組の長女・海璃(みり)ちゃん、年少組の次女・こ花(こはな)ちゃん、2歳の三女・萌咲(もえ)ちゃんの子育てをしながら働くお母さんだ。





大多喜町を選んだ決め手は「保育園」

出身は新潟。夫の仕事の都合で千葉へ転居してきた。夫婦共通の趣味であるサーフィンが身近に楽しめる房総エリアは魅力的だったという。6年前、近隣の市区町村から大多喜町へ。大きな理由のひとつは保育園だった。
「すぐに入園させてもらえるって聞いたんです。前に住んでいたところは入れなくて。困ったというよりびっくりですよね。待機児童って都心だけの問題じゃないんだなって」
大多喜町に保育園はふたつ。町の中心部にある「みつば保育園」と養老渓谷など山間部をカバーする「つぐみの森保育園」。どちらも生後6カ月から入園でき、現在も新規の受け入れ可能。幼稚園はなく、町内のほぼすべての子どもたちがこの園に通う。
「子どもたちは毎日楽しそうに通ってます。出席番号が誕生日順なこととか、新潟とは違うところもいろいろあって最初は驚いたけど(笑)、今はもうここが我が家の場所。大多喜に腰を据えて子育てしていくつもりです」

笑顔でいるためにしていること

4人の子どもとの日常は「バッタバタ」。毎日の家事と仕事、保育園の送り迎え、煌歩くんと海璃ちゃんが通う柔道教室も週に3回練習がある。「自分の時間は一切ない。お化粧は2分です」と笑う。安藤さんはいつもニコニコしていて、子どもたちと一緒になって駆け回っていて、だからこちらもつい笑顔になってしまう。
「部屋が散らかってても、洗濯物が山になってても、そっちを見ないようにして(笑)。無理してもしょうがないから、できることから、できることだけやるようにしています。イライラすることもつい怒っちゃうことも、もちろんありますけどね」
怒った顔をして、心と体に無理を強いてやるくらいなら、やらない。あれもやらなきゃこれもやらなきゃで焦ってしまう気持ちはひとまず置いて、なるべく自分が笑っていられるような選択肢を考える。なかなかできることではない。
「秘訣?うーん、寝ることかなぁ。4人で並んで布団に入ったら、私が一番最初に寝てますね(笑)」



子どもたちの名前に込めた「色」

この日の撮影は「大多喜県民の森」。家族でよく遊びにくる場所だという。お兄ちゃんが妹たちの手を引き、お母さんが赤ちゃんを抱いて、4人並んで歩く。歩きながら落ちていた木の実を拾い、花を摘んで、それを見ながらおしゃべり。
「アッキー(長男)が本当によく妹たちの面倒を見てくれるので、助かってます。お兄ちゃんがいれば子どもたちだけで留守番ができるから、私ひとりで用事を済ませることもできるし」
兄妹の名前にはすべてテーマカラーを持たせた。煌歩くんは「赤」、海璃ちゃんは「青」、こ花ちゃんは「ピンク」、萌咲ちゃんは「緑」。字面からもイメージできるそれぞれの「色」に合わせて小物や雑貨を少しずつ揃えている。
「私、色が好きなんです。何色が好きと言うよりはどの色も好き。それぞれ違ってるからいいんだと思う。個性が出るし、色と色の組み合わせも楽しめるし」



つながって暮らすことが大事だよ

母親として、自分の子どもたちに教えたいこと、伝えたいことを聞いた。
「感謝の気持ちですね。今までも、今も、本当にたくさんの人にお世話になって、支えてもらって子育てができているなぁと思うんです。実家に泊まりに行く、友達と遊びに行く、同僚が助けてくれる。どれもありがたいことだなぁって。だから自分がやさしくしてもらったらそれに感謝する気持ちを持って、それを自分でも、次の誰かへのやさしさにつなげてほしいと思ってます。人とつながって暮らすことが大事だと思うから」



母として、大人として、地域に関わっていきたい

安藤さんは現在、飲料品のルート配送をしている。この仕事をするようになって、子育てとはまた違ったコミュニケーションが生まれるようになった。
「これまで知らなかった魅力的なお店や農家さん、移住してきたばかりの方たちとも縁ができました。『あてらに紹介しよう!』って思う人がたくさんいますよ(笑)」
町を活性化してより楽しい場所にするためのアイデアもふくらむ。出身地である新潟のローカル鉄道で行っている運行中の車両を使った地元の特産品を売るマルシェや、街並の江戸情緒を生かした着物のイベントなど、これも“できる範囲で”関わっていきたいと考えているそうだ。
「地域に参加していくことで、次の子育て世代や、大多喜町に興味を持ってくれる人ともつながれると思うんです。それは自分の子育てにもプラスになりますよね」
大多喜で子どもたちが元気に育っていくこと。それはお母さんとして、町で暮らす大人としての切なる願いだ。その気持ちを原動力に、今日も1日、笑顔で走る。

安藤麻美

新潟県出身、大多喜町在住。4人の子どもの母。

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